dirac246の日記

物理・数学や資産運用、映画など

映画「グッモーエビアン」

テアトル新宿で観た(F-6席.こじんまりした古いタイプの映画館.今回の席はよかったが前の人の頭が気になるタイプの座席配置だった).

ストーリーはほのぼのとした家族ドラマ.三吉彩花さんに見とれた.また同級生役の能年玲奈さんが癒し系でとてもよかった.

物理学者,ウォール街を往く

先日Amazonから中古を購入した「物理学者、ウォール街を往く。―クオンツへの転進」を読んだ(スキャンして通勤時にiPhoneで).

素粒子物理学者からウォール街クオンツへ転職した著者の詳細な自伝.

物理(素粒子論)の記述も,金融工学(ブラック・ショールズ理論など)の記述もかなり細部にわたるため,ある程度知らないと苦痛かも知れない(以前に読んだ「ザ・クオンツ 世界経済を破壊した天才たち」が読み易かったのと対照的).

著者は素粒子論の中でも現象論の理論家として賞ももらうほどの業績を上げ,コロラド大学の准教授としての職を得たにも関わらず競争の重圧に勝てず,ベル研究所(数理戦略)に転職し,そこからさらにゴールドマンサックスに転職した.

素粒子論での競争がいかに過酷なものか改めて認識させられた(超優秀な研究者の中でさらに過酷な競争がある).

また素粒子論をやっていると,他のすべてがくだらなく思えてしまう心情も素直に告白していた.

著者は転職後すぐにブラック・ショールズ方程式で有名なフィッシャー・ブラックと共同研究して良い成果を上げている.

その後,紆余曲折しているが現在はまたアカデミック(コロラド大学金融工学教授)に戻っている様子.

後半の金融工学の記述は詳しすぎてやや退屈だった(よくわからない).

映画「綱引いちゃった」

TOHOシネマズ渋谷で観た(スクリーン4のD-10.少し前すぎ).

TOHOシネマズ渋谷ははじめてだった.1階がクリスピードーナッツで便利(日曜の昼までも座れる.LTEが入る).

映画自体は井上真央さんがかわいいのと,渡辺直美さんの巨大ぶり!が楽しめるが,ストーリーはちょっと退屈だった.

特異系の正準形式と量子化

九後汰一郎「ゲージ場の量子論〈1〉 (新物理学シリーズ)」5-2のサマリ

特異系
Lagrangian L(q_i, q'_i)  (i=1,…,N)から正準運動量p_i=∂L/∂q'_iを求めてHamiltonian H(q_i,p_i)を作るときに,det[ ∂^2 L/∂q'_i ∂q'_j ] = 0だと特異系(q'_i = q'_i(q,p)のように表せない).
1次拘束条件
A_ij = ∂^2 L/∂q'_i ∂q'_j のrank m<Nに応じて,m個の拘束条件Φ_A=0
菅野礼司「ゲージ理論の解析力学」p.17に詳しい
第2類拘束条件
H~(q,p) = H(q,p) + Σ_A λ_A・Φ_A     (λ:Lagrange未定係数)
拘束条件が時間発展にconsistentであるためには dΦ/dt = {Φ, H~} = 0 が必要
→ もしC_αβ = {Φ_α, Φ_β} が正則ならλ_Aが決まる(第2類拘束条件)
→ C_αβは反対称,det C = det C^T = (-1)^r det Cのため r=2m(Cは偶数次元)
Dirac括弧
第2類拘束条件ならばλが決まり,そのときの H~ とのPoisson括弧を,H とのDirac括弧 { F, H~} = { F, H } + λ { F, Φ } = { F, H }_D と呼ぶ
Dirac括弧は拘束条件によって制限されたΓ*多様体(2N-m次元)上でのPoisson括弧に対応する.
拘束条件が第2類のときの量子化
Dirac括弧を交換関係に置き換えることにより量子化が可能
第1類拘束条件(C_αβが非正則)
→ { Φ_A, Φ_B } = fABC Φ_C  :Φ_Aを生成子とするリー代数
→ 系はΦ_Aが生成する変換(ゲージ変換)で不変
→ ゲージ不変性のためλが決まらず,Γ多様体上での運動方向 dF/dt が決まらない
ゲージ固定
λが決まるようにゲージ固定条件 χ(q,p) = 0 を加える.dχ/dt = 0 からλが決まる.
→ Φとχをまとめて拘束条件とすることにより,全体として第2類拘束条件になる. 
→ Dirac括弧を用いて量子化できる
第2類拘束系の経路積分量子化
出発点はΓ*部分多様体(q*,p*, 拘束条件の張る超平面, 2N-m次元)上の経路積分(これが正しい量子論
→ ただし実際には拘束条件をすべて解くのは容易でないため,もとのΓ多様体(2N次元)上の経路積分に変換したい
→ C_αβ (2k x 2k行列, 2k=m)は反対称行列でかつ正則(非退化交代行列)なので,シンプレクティック形式Jに変換できる!
L * C * L^t = J
J = [    0    I_k ]      (I_kはk次元の恒等行列)
      [ - I_k   0   ]
→ Lで線形変換した拘束条件 Φ_A ==> (ψ_a, φ_b) では { ψ_a, ψ_c } = { φ_b, φ_d } = 0, { ψ_a, φ_b } = δab になる(C=>Jだから)
→ q'_a = ψ_a,p'_b = φ_b を正準座標,正準運動量とみなすことができる!
→ (q*, q', p*, p')が正準変数(2N次元)になる
dq* dp* = dq* dp* dq' dp' δ(q') δ(p') からdq dpへ正準変換すると拘束条件に対応する因子が導出できる
= dq dp [ π_A δ(Φ_A) ] [√ det { Φ_A, Φ_B } ]
→ 拘束条件(のうちのゲージ固定条件)はδ関数をガウス積分で表すと,ちょうどLagrangianへのゲージ固定項の形になる
→ 拘束条件のPoisson括弧の行列式(の平方根)はFaddeev-Popov行列式になり,グラスマン積分で表すとghost Lagrangian(運動項)になる
(杉田勝実「経路積分と量子電磁力学 POD版」5−8にも詳しい説明あり)

映画「007スカイフォール」

TOHOシネマズ六本木ヒルズで観た(スクリーン5のD-9席).

ダニエル・クレイグになってから,以前の007の超人的な活躍と美女との絡み,というパターンから,よりリアルなドラマ(敵の人物像,新兵器の小道具,ストーリーも現実的になってきており,また007やMI-6の面々の人物像がより細かく描かれている)に変わってきている.

なかなか楽しめる内容だった.