物理学者,ウォール街を往く
先日Amazonから中古を購入した「物理学者、ウォール街を往く。―クオンツへの転進」を読んだ(スキャンして通勤時にiPhoneで).
素粒子物理学者からウォール街のクオンツへ転職した著者の詳細な自伝.
物理(素粒子論)の記述も,金融工学(ブラック・ショールズ理論など)の記述もかなり細部にわたるため,ある程度知らないと苦痛かも知れない(以前に読んだ「ザ・クオンツ 世界経済を破壊した天才たち」が読み易かったのと対照的).
著者は素粒子論の中でも現象論の理論家として賞ももらうほどの業績を上げ,コロラド大学の准教授としての職を得たにも関わらず競争の重圧に勝てず,ベル研究所(数理戦略)に転職し,そこからさらにゴールドマンサックスに転職した.
素粒子論での競争がいかに過酷なものか改めて認識させられた(超優秀な研究者の中でさらに過酷な競争がある).
また素粒子論をやっていると,他のすべてがくだらなく思えてしまう心情も素直に告白していた.
著者は転職後すぐにブラック・ショールズ方程式で有名なフィッシャー・ブラックと共同研究して良い成果を上げている.
その後,紆余曲折しているが現在はまたアカデミック(コロラド大学金融工学教授)に戻っている様子.
後半の金融工学の記述は詳しすぎてやや退屈だった(よくわからない).